【図解】競馬の種牡馬のシンジケートとは?

【図解】競馬の種牡馬のシンジケートとは?

どうも、スダケイバです。

種牡馬のシンジケートについて、報道はされど解説されることが少ない印象を受けたので詳しく解説していきたいと思います。

種牡馬のシンジケートの仕組みとは?

【図解】競馬の種牡馬のシンジケートとは?仕組みとは?
シンジケートとは主に種牡馬について組織される株主の集まりのことです。現役時代は1人のオーナーが最大100%その競走馬の権利を持っています(※一部複数人の馬主で共同保有しているとされている馬もいます。)が、引退後はそれを株式に置き換えて共同保有するものです。

1頭の種牡馬を数十株(40~60株で分割することが多いようです)に分けて分配し、その保有株数に応じて、1株につき1頭分の種付ができる権利と、「余勢(株)」と呼ばれるシンジケートの株を有しない方から得た種付料について、分配金(配当)を受け取る権利を持ちます。

シンジケート出資者の権利イメージ

種牡馬のシンジケートの出資者の権利
出資者の権利を図解するとこのようなイメージです。前述の通りではありますが、出資者は出資のリスクを追う代償として、1株につき1頭の種付けの権利を有します。種付けは外部からの種付け希望を受け付けないPriveteとされている馬以外は、出資者以外の種付け希望の申し込みも受け付けます。それらの種付け料の総額から保有株に応じて分配金を受け取る権利を有します。

産駒が走れば分配金から莫大なリターンがある反面、産駒が走らなければ回収が難しくなるリスクがあります。出資者のメリット・デメリットについては次の項目で解説します。

シンジケートのメリット・デメリット

シンジケートのメリット・デメリット
シンジケートのメリット・デメリットです。まずメリットについては4つ挙げられると思います。

◆シンジケートの主なメリット
①種付けの権利を持てる
②種付け料から配当を得られる
③良い繁殖に種付けができる可能性が上がる
④経済面でリスクヘッジが可能

まず1つ目の「①種付けの権利を持てる」ですが、これはイメージしやすと思います。例えばディープインパクトやキタサンブラックなどの人気種牡馬を種付けしたいと思っても、同じように思う人は多いわけですが、株主であれば株の保有分の種付けは計算できますので、生産をやっている方からすると計算が立ちやすいですよね。また株主は産駒の売却益も種付け料負担の差分の分、大きくなります。(株主は種付け料自体が無いのか、種付け料と配当で相殺しているのか不明ですが。)

2つ目の「②種付け料から配当を得られる」ですが、これは読んで字の如く、経済的なメリットになります。

3つ目の「③良い繁殖に種付けができる可能性が上がる」ですが、出資者は種牡馬の価値が上がればリターンが大きくなります。一般的に出資者は種付けの権利も欲している人(つまり生産をしている人)が多いわけですから、種牡馬の価値を上げるために、自身の良い繁殖をあてがってくれる可能性が上がります。

4つ目の「④経済面でリスクヘッジが可能」ですが、デメリットでも挙げる保険料や維持費などを出資者で分担することができます。一例を挙げますと、日高の牧場がシンジケートを組んで”ラムタラ”という種牡馬を約44億円で導入しましたが、この例で言うとシンジケートを組まない場合は1牧場で44億円のリスクを負わなければならないところを、シンジケートを組むことにより最大40~60人でリスク分散できます。(1人(1株)あたり1億円程度のリスクに抑えることができていました。それで大きいですが。。。)

◆シンジケートの主なデメリット
①保険料や管理費用の負担
②配当金を支払う必要がある
③未回収リスク

次にデメリットです。まず「①保険料や管理費用の負担」は出資者目線での話になりますが、出資した金額に加えて毎年保険料と種牡馬管理施設への管理費用を払う必要があります。一般的に保険料は馬の評価額の3~5%とされ、いい馬になればなるほど保険料負担は大きくなります。

2点目の「②配当金を支払う必要がある」は種牡馬を導入する側の目線です。シンジケートの仕組みを使えば導入時のリスク分散はできる反面、リターンも分散されます。昔は一発当てることを目的として、特に海外から大金を叩いて種牡馬導入をしていたケースもありましたが、その負担の大きさで倒れてしまった牧場もありました。現在は大きな投資の場合はリスク分散をするケースの方が多い印象です。

最後の「③未回収リスク」は読んで字の如く、投資した分の金額が配当で戻ってこないリスクです。株なので当然といえば当然ですが、一般的に最初の種付け料の5~6年分が1口あたりのシンジケートの価格が決められますが、3年目に産駒があまりにも走らないと種付け料が下がるため、投資金額の回収が難しくなると言うものです。(おそらく諸経費などを考えると8~9年は種付け料を維持しないと回収できない計算になります。)

シンジケートを組まなかったケース

シンジケートを組まなかったケースで有名な事例は“テイエムオペラオー”のケースですかね。GIを7勝もした名馬ですが、テイエムオペラオーはオーナーの竹園氏の意向でシンジケートを組まず、引退後も竹園氏の個人所有となりました。

個人所有としたことだけが原因ではないでしょうが、全ての種牡馬期間の成績で種牡馬の活躍の目安の一つとされるアーニング・インデックスでテイエムオペラオーは平均値を下回っています。(まだ現役馬が数頭いますので確定では無いですが。)

その他にも、社台系のクラブ馬はシンジケートを組まないケースがあります。これはリスク分散よりもリターンを期待してのことだと思います。ただ直近で言うとフィエールマンのケースは報道によるとシンジケートを組んでいたようです。このケースの場合は、社台SSでの繁養ではなかったので、社台SSでの繁養されるかどうかも、社台系のクラブ馬についてシンジケートを組む・組まないの意思決定は繁養先にポイントにありそうです。

また、ロードカナロアは当初リースでの導入だった模様です。リースの場合は買取に比べると初期費用を抑えられるのがポイントです。

有名馬のシンジケート組成額一覧

種牡馬名金額・口数総額
ナリタブライアン3,450万円×60口20.7億円
ディープインパクト8,500万円×60口51億円
キタサンブラック2,250万円×60口13.5億円
ゴールドシップ不明×70口10億円
ロードカナロア不明19.5億円
キズナ不明9億円
ラムタラ1億800万円×41口44億円
サンデーサイレンス4,150万円×60口24.9億円
エルコンドルパサー3,000万円×60口18億円

シンジケートは組成されたことは報道されることがあるものの、金額まで報道されるケースは稀です。報道されるのは余程の大金がかかった馬か、上記のような一握りの名馬達ぐらいですかね。ここに記載のある種牡馬はラムタラ以外は種付け料が年々上がっていった種牡馬が多く、儲けが出ていると思います。(ナリタブライアンやエルコンドルパサーは早逝により、保険料も含めて回収ができていると思われます。)

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