騎手エージェントとは?制度と一覧と馬券術について解説(騎乗依頼仲介者)

騎手エージェントとは?制度と一覧と馬券術について解説(騎乗依頼仲介者)

どうも、スダケイバです。

騎手の騎乗馬を集める仲介をしている「騎手エージェント」は現在は切っても切り離せない存在となっております。しかし、騎手の騎乗する馬を集めるという非常に重要な役割にも関わらず、あまり競馬ファンにフォーカスされていない印象があったため、JRAが公表している騎乗依頼仲介者一覧より引用し、馬券にどう使うべきかまとめてみました。(敬称略)

エージェントの一覧・早見表

出身・所属エージェント担当騎手(★は新人)
競馬ブック小原靖博岩田康誠/★岩田望来/★今村聖奈/★西塚洸二
競馬ブック井上政行川田将雅/★団野大成
競馬ブック甲斐弘治吉田隼人/★西村淳也/★服部寿希
競馬ブック中村剛士戸崎圭太/★武藤雅
優馬(1馬)小野智美木幡巧也
優馬(1馬)櫻井眞人松山弘平/和田竜二/松若風馬
優馬(1馬)坂倉和智田辺裕信/★小林凌大/★土田真翔/★佐藤翔馬
優馬(1馬)久光匡治藤田菜七子/★原優介
優馬(1馬)細川貴之坂井瑠星/北村友一/★古川奈穂
優馬(1馬)目黒和外池添謙一/古川吉洋/川島信二/★角田大和
デイリー馬三郎赤木俊介中井裕二/和田翼
デイリー馬三郎安里真一藤岡佑介/藤岡康太
デイリー馬三郎玉川祝大野拓弥/杉原誠人/★水沼元輝
デイリー馬三郎常木翔太丹内祐次/宮崎北斗/★横山武史/★小林美駒
デイリー馬三郎武山修司三浦皇成/★菅原明良
研究ニュース井尻雅大柴山雄一/★小沢大仁
研究ニュース永山弘樹国分恭介
研究ニュース永楽裕樹武士沢友治/菊沢一樹/菅原隆一
競馬ニホン豊沢信夫C.ルメール/武豊/浜中俊/★泉谷楓真
競馬ニホン荒木敏宏小牧太/太宰啓介/★鷲頭虎太
競馬エイト西尾学森裕太朗/水口優也/城戸義政
競馬エイト松本浩志北村宏司/松岡正海/★秋山稔樹
ダービーニュース森山大地石橋脩/津村明秀/石川裕紀人/★横山琉人
ダービーニュース川島康孝丸山元気/柴田大知
ホースニュース馬三宅俊博国分優作/高倉稜/★角田大河/★河原田菜々
ホースニュース馬橋本貞男幸英明/菱田裕二/秋山真一郎/★田口貫太
サンケイスポーツ高尾幸司柴田善臣/黛弘人/★永野猛蔵/★小林脩斗
デイリースポーツ文元仁★石田拓郎
日刊スポーツ和田美保内田博幸
日刊競馬黒津紳一吉田豊/勝浦正樹/的場勇人/★小林勝太
競友金子光希三浦毅彦
その他大谷博毅★松本大輝
その他大河内瑛酒井学/川須栄彦/★亀田温心
その他坂上玄鮫島克駿/藤井勘一郎/★斎藤新/★大久保友雅
その他吉井慎一松田大作/荻野極/★永島まなみ/★川端海翼
その他町田周平丸田恭介/★山田敬士/★佐々木大輔

※騎手名及びエージェント名についてはJRAより引用。所属情報は各社web公開情報もしくはwikipediaを参考に記載

2023年4月時点での各エージェントの担当騎手は上記の通りです。エージェントの中には専業でやっている方と競馬の予想記者と兼任している方がいます。競馬の予想記者が兼任している場合は、その記者の予想が紙面上で見られますので、もしかしたらクセなどを見つけると、勝負気配が読めるかもしれません。

あとは、F1ドライバーの「ファーストドライバー」「セカンドドライバー」のように、各エージェントの中でも優先順位をつけるための序列は当然あると推察できますので、その辺りも読めると馬券に活かせる可能性があります。

例えば、競馬ニホン出身で現在はエージェントに専任している豊沢信夫氏は、「C.ルメール・武豊・浜中俊・泉谷楓真」を担当していますが、リーディング上から判断するに、おそらくルメール騎手がファーストドライバーのはずです。

そのルメール騎手がいい馬に優先的に乗ると思いますが、海外騎乗やバカンスなどでルメール騎手が不在の場合は武豊騎手や浜中俊騎手が代打を務めることがあります。両名は素晴らしい騎手ですが、現在はルメール騎手ほど騎手人気しませんので、馬の質に対しての人気という点では、もしかしたら狙い目かもしれません。

エージェントをつけていない、エージェント不在の騎手一覧

栗東
岡田祥嗣小野寺祐太加藤祥太
川又賢治北沢伸也黒岩悠
小坂忠士小崎綾也小牧加矢太
鮫島良太白浜雄造高田潤
竹之下智昭田中健田村太雅
長岡禎仁中村将之難波剛健
西谷誠平沢健治藤懸貴志
森一馬
美浦
五十嵐雄祐石神深一伊藤工真
井上敏樹岩部純二上野翔
江田勇亮大江原圭大塚海渡
大庭和弥草野太郎木幡育也
木幡初也嶋田純次鈴木慶太
高野和馬田中勝春西村太一
野中悠太郎原田和真伴啓太
蓑島靖典横山和生横山典弘

※騎手名及びエージェント不在情報についてはJRAより引用。

エージェントが不在もしくはエージェントをつけていない騎手は上記の通りです。乗鞍が少ない騎手や障害の騎手が多いですね。これらの騎手はエージェント情報からの馬券活用は難しいと思いますので、参考までに。

エージェント(騎乗依頼仲介者)制度とは?

◆競走に関し、騎手が馬主又は調教師から騎乗依頼を受けるにあたり、騎手本人に代わりその受付を行う者のこと。1名の騎乗依頼仲介者が担当できる騎手の人数に、制限(3名+若手騎手1名)を設けている。(JRAより引用)

JRAはエージェント(騎乗依頼仲介者)を上記のように定めています。騎乗依頼仲介者は「馬券購入(譲り受け含む)の禁止」が定められており、馬主や馬主に雇用されている人はエージェントになることができません。

エージェント制度が始まったのは、岡部幸雄元騎手が「騎乗に集中したい」との理由で、当時懇意にしていた競馬研究の松沢昭夫氏に自身の騎乗依頼の受付を委託したのが、その始まりとされております。

トップジョッキーともなると想定の出る水曜日の午後は、騎乗依頼・騎乗相談の電話が鳴り止まず、またその管理にも長けていないという事情もあったようで、次第に多くの騎手に広まっていきました。

JRAが本格的に制度化したのは2006年からで、2012年からはエージェントへの申請(届出)を義務付けたほか、2018年からはエージェントの馬券購入を禁止するなど、徐々に制度も改善・改変されて行っております。

背景には騎乗依頼をコントロールできるという重要性のほか、騎手とエージェント間の高額な報酬のやり取りも課題となっており、JRAとしては整備していく方向にあります。

エージェント(騎乗依頼仲介者)制度のメリット・デメリット

エージェント(騎乗依頼仲介者)制度のメリット・デメリット
エージェント制度のメリットとデメリットをまとめてみました。まずメリットの方ですが、「騎手」「調教師」「エージェント」の三法よしになっています。

騎手は税金で取られるくらいなら、コストにはなりますが面倒毎を任せることができますし、厩舎側も騎手一人一人にアプローチするより窓口が減りますので手間が減ります。そしてエージェントはエージェントフィーが入りますがのでお金を稼げます。

一方でデメリットについては、いろいろありますが一番は公正競馬の確保ではないでしょうか。騎手や厩舎関係者は馬券購入や予想行為ができないのに対して、それに近い立場のエージェントは馬券は買えませんが予想はできてします。

馬券術として参考にもなると先ほど申し上げた通り、人間ですので自身の担当する馬に対して予想する時にクセは出るでしょうから、果たしてこれが公正か?と言われると現時点でもクエッションマークが付きます。

ただし、JRA側も出馬投票業務の円滑な進行という意味では、この制度に頼っている部分もあるので今更辞められないと思いますので整備を進めていく方向になるのではないでしょうか。

私個人の意見としては、会社でもそうですが、役職が上の方に行くと面倒ごとも増えますので仕事に集中できるように秘書がついたりしますので、トップジョッキーも同じようにサポートする人がつくのは自然な流れだと思いますが、上記のように制度には改善の余地があると思っています。

エージェントの囲い込み・ライン問題

エージェントは最大4人の騎手の騎手をマネジメントしていますので、A騎手が乗れない場合、同じくマネジメントしているB騎手の騎乗を提案します。この時A騎手とB騎手が厩舎側が満足できるレベルの騎手であれば、厩舎側も新しく騎手を探すよりも手間が省けて、一見win-winですが、一部で問題視されております。

仲介者同士でグループを組んだり、届出をしていない人を代理で立てたり、制度にはこれまでも抜け道がありました。同じ新聞社で複数人のエージェントが居たりしますので、一般論として親密なエージェント同士というのは存在しますので、実際にやっていないかもしれませんが、外部からはそういうネガティブな想像をされやすい状態でした。

JRAは一応、仲介者同士でグループを組む行為や代理を立てる行為は禁止しておりますが、騎手や調教師ほど厳しい制度(免許)や監視下に置かれているわけではないので、性善説に基づいた運用になっています。

一方で、同じエージェントで有力馬を実質的に囲んでしまうことについては今もできてしまいます(いわゆるエージェントラインです)。「A騎手が乗れないけどB騎手を今回乗せる。次のレースはA騎手が乗れるので戻す。」というように、同じエージェントがずっと馬を囲い込むことは現在も可能です。この行為は前述の2つの行為ほど問題ではないかもしれませんが、こういった馬が多くなると騎乗機会に恵まれなくなる騎手も増えてしまいます。

エージェントの収入の仕組みについて(取り分)

エージェントの収入の仕組みについて(取り分)

エージェントの収入について見ていきましょう。まずエージェントの収入の仕組みですが、「専業」「兼業」に分かれます。「専業」の場合は、エージェントフィーと副業収入が主な収入源となります。一方で、競馬新聞の記者などと「兼業」でエージェントを行なっている人は、エージェントフィーと副業収入に加えて会社員としての収入もあります。

気になるエージェントの取り分ですが、エージェントと騎手は個別に契約を交わしているので、その取り分が表に出ることはありません。一説には賞金の5%程度が相場というのが、競馬ファンの間ではコンセンサスとなっております。

また、契約の形態ですが、固定の場合と成果報酬のケースがあるようです。過去にnetkeibaでエージェントの方がインタビューに答えていましたので、その部分を引用します。

金銭面とかはジョッキーとの契約なんですよね? 1人1人で内容は違うんですか?
森山:僕の場合は全員一緒です。初めは固定額でと思ったんですけど、先輩に「勝ったら勝った分、ダメならダメという方が、お互いにいいよ」というアドバイスをいただいて。まあ、本当はきっちり決めないといけない部分もあるんですけど。例えばジョッキーが怪我で競馬に乗れない間の補償の問題というのもありますが、そういう時にまでお金を払ってもらうというのも嫌ですし。だったら何が起きても大丈夫なように、自分でなんとかしようと思っています。(netkeiba「エージェント・森山大地さんインタビュー Part1」より引用)

このように、固定のケースと成果報酬のケースがあると思われます。ただし、おそらく競馬村の流れ的に先輩からこのようなアドバイスをされているということを鑑みますと、前例に倣い成果報酬の方が多いのではないかと思われます。

競馬の騎手の年収ランキングと高年収の仕組み競馬の騎手の年収ランキング(JRA・地方)

次に賞金の5%ぐらいと言われている報酬のところですが、上記で計算している騎手ごとの進上金(賞金)の5%となりますと、川田騎手の場合は報酬が750万円ほどとなりますので、川田騎手のエージェントであれば仮に専業でも食べていける水準ですね。

一方で、中堅〜下位騎手ですと1,000〜3,000万円くらいの進上金(賞金)になりますので、同じように賞金の5%ですと50~150万円分の取り分となりますので、担当騎手が一人だと専業では厳しい水準かもしれませんが、最大4人(新人含む)まで担当できますので、単純に4倍にすると200~600万円と生活できる水準にはなるので、目安としては近いのではないかなと。

また、人によっては法人化している人もいます。一般論として個人事業主は利益が800万円を超えてくると法人化するメリットが出てきますので、おそらくエージェントフィーで2,000万円近い収入を得ている人も居るのではないかと思います。

騎手リーディングから見るエージェントランキング

順位騎手エージェント
1川田将雅井上政行
2戸崎圭太中村剛士
3横山武史常木翔太
4松山弘平櫻井眞人
5C.ルメール豊沢信夫
6岩田望来小原靖博
7福永祐一
8坂井瑠星細川貴之
9吉田隼人甲斐弘治
10鮫島克駿坂上玄
11武豊豊沢信夫

2022年のリーディングトップ10(引退した福永騎手除く)の現在のエージェントを見てみましょう。トップ10だけで見ると豊沢信夫氏が2名を担当しております。

一方、太字で記載した4名はいずれも競馬ブックの出身・所属ということで、基本的にエージェントよりも騎手の腕が反映されていると思いますが、仮にエージェント側にランキングのようなものをつけるとするならば、個人は豊沢氏、組織としては競馬ブックがランキング上位になるのではないでしょうか。

エージェントの一週間のお仕事

曜日お仕事
月曜日全休日(騎乗キャンセル等)
火曜日騎乗馬集めの営業、騎乗キャンセル等
水曜日騎乗馬集めの営業及び騎乗依頼への対応
木曜日騎乗馬集めの営業及び騎乗依頼への対応(登録締切)
金曜日
土曜日競馬場入り
日曜日競馬場入り

エージェントの仕事内容についてまとめてみました。何人かのコメントなどの平均値で作ってみましたので、多少人によって差があると思います。騎手によっては地方交流の騎乗馬調整が月曜日や金曜日に入ってくるそうです。こうやってみるとほぼ休みなく働いていらっしゃいますね。少なくとも競馬開催自体がほぼ休みがありませんので、それと密接に関わるエージェントはこうなるのでしょう。(ただ、兼業でもやるれ業務の強度だとは思います。)

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