【競馬】調教・追い切りの見方(基準タイム・ポイント)

調教時計の見方について(基準タイム・ポイント)

どうも、スダケイバtwitterです。

競馬歴の長い友人と先日POGのドラフトをしていた時の話なのですが、友人が指名馬を決める前にふと「俺はまだ調教時計の見方がよくわかっていないんだよね」と発言をしました。

友人をフォローするわけではないですが、友人は毎週全レース買う馬券大好き人間で競馬の知識もかなり豊富な部類ですが、彼は血統派で馬券を買うタイプの人間で、調教時計はあまり重要視していないため、先の発言に繋がったようです。

この記事では、そんな友人のように「競馬歴は長いけど、実はあまり調教についてわかっていない人」や「競馬を始めてまだ日が浅い」など、普段調教を重要視していない人に向けて、調教欄の追い切り時計をどのように見たらいいかを解説していきたいと思います。

なぜ調教(調教欄)が大事か?

競馬新聞には「調教欄」というのがあります。これは、馬のレース前の調教時計が掲載されているのですが、全ての新聞に必ず存在する欄となっており、競馬新聞にとって重要なコンテンツの一つです。

それだけ重要なコンテンツである理由は、「馬の調子や能力がわかる可能性が上がる」からです。

調教で馬の調子がわかる理由

馬は会話できませんので、馬の調子というのは、普段との「見た目の差分」「体温や息遣い」「糞の状態」などの、普段との差分を周辺情報から読み取るしかありませんが、それらの情報は一般の競馬ファンではなかなか入手が難しい状況です。

そこで活躍するのが調教(調教欄)です。レースに出走する馬は、レースまでの間に調教をしますが、体調に問題がある場合は、調教時計が普段よりも遅かったり、調教ができなかったり(弱かったり)と変化が出ることが多く、この変化に気がつくことができれば馬の調子を読み取れることがあります。

調教で調子を読み取れた事例
2022年の大阪杯で1番人気のエフフォーリアが大敗をしましたが、普段よりも調教の動きが悪く、レース前からそれを指摘する声がありました。これは調教(調教欄)により調子を読み取れたという事例になります。(もちろん調子が悪くても能力で勝ってしまうケースもあり、エフフォーリアの場合はそれを期待されての1番人気だったと思いますが)

調教で馬の能力がわかる範囲

調教で馬の能力がわかる可能性があると申し上げましたが、結論から言うと「この馬はGIを勝つ」などの能力値の絶対値はわかりません。ただ1勝できる可能性があるかどうかと言う「足切りライン」というのは、おおよそ調教から見極めることができます。

JRAでは新馬・未勝利戦に年間2,500頭前後が出走しますが、新馬・未勝利のレースは約1,500レースですので、勝ち上がれるのはおよそ6割。つまり半数近い馬が1勝もできないと言う計算になります。

1勝もできない馬をもう少し紐解くと、

①「能力はあるけど何かしらの理由で勝てない馬」
②「能力が足りない馬」

に分類することができ、調教時計から「②能力が足りない馬」と言うのはある程度読み取ることがます。

よく、新聞で「水準の時計が出ており〜」と言う厩舎関係者のコメントを目にすると思いますが、この水準というのは「勝ち上がれる程度の能力がある」ということを指しています。

注意点
一般的に水準の時計(勝ち上がれる能力)があっても、相手があることですので確実視はできません。また単勝で高配当の馬が1勝目を挙げることがあるように、調教時計とレースがリンクしない馬もおり、調教はあくまで確率を高める一貫までの見極めになります。

調教施設(調教コースについて)

美浦トレーニングセンターの施設について

美浦トレーニングセンターの施設について
美浦トレーニングセンターの施設について
画像引用:JRA

南A障害用全長1,370m、外芝・内ダート
南Bダート全長1,600m、天候影響大きい
南C全長1,800m、野芝
南Cポリトラック全長1,858m、ニューポリトラック
南Dウッドチップ全長2,000m、足元の負荷少ない
坂路全長1,200m、高低差18m
プール水深3m、深さ3m、全長50m
北Bダート全長1,600m、天候影響大きい
北Cダート全長1,800m、天候影響大きい

美浦トレーニングセンターの主な調教施設です。南馬場のAコースからDコース、北馬場のBコース、Cコースのトラックコースに加えて、坂路とプールがあります。

この中でも、南Cのポリトラックと南Dのウッドコース、坂路が追い切り時計で使われるメインの調教設備になりますので、主にこの3つの時計を主にチェックすれば良いかと思います。

栗東トレーニングセンターの施設について

栗東トレーニングセンターの施設について
画像引用:JRA

A障害用全長1,450m、芝コース
Bダート全長1,600m、天候影響大きい
Cウッドチップ全長1,800m、足元への負担少ない
D全長1,950m、野芝
Dポリトラック全長2,038m、ニューポリトラック
Eダート全長2,200m、主に発走試験に利用
坂路全長1,805m、高低差32.5m
プール水深3m、深さ3m、全長50m

栗東トレーニングセンターの主な調教施設です。AコースからEコースのトラックコースに加えて、坂路とプールがあります。

この中でも、Cコース(ウッド)、Dコース(ポリトラック)、坂路が追い切り時計で使われるメインの調教設備になりますので、主にこの3つの時計を主にチェックすれば良いかと思います。

調教時計の見方について(基準タイム・ポイント)

調教時計の見方について(基準タイム・ポイント)
それでは具体的な調教時計の見方を解説していきます。フォーマットこそ各新聞により異なり、新聞社によっては記載がないものも含まれますが、一般的に調教欄を見る上での6つのポイントを解説していきます。

①馬場

調教をしている馬場(場所や馬場状態)によっては、後述する時計の出方が全く異なりますので、まずはどこのコースで追い切りをしているのか確認しましょう。曜日によって馬場状態が違うこともあるので、日付も一応チェックしましょう。

上級者の場合は、追い切りの時間(新聞には記載がなく、有料情報であることが多い)もチェックしています。これは追い切りを行った時間帯によって馬場の荒れ具合が異なるので、時計の出方も変わるためですが、初心者には難しいと思うのでそこのチェックまでは不要でいいかと思います。

②騎乗者

調教に「誰が乗ったか」というのは非常に重要です。調教というのは本番の競馬と異なり、斤量が統一化されていません。つまり、体重が軽い人が調教に乗ると時計が出やすくなります。

平日の体重は公開されていない情報になるため、正確に測るのは難しいですが、一般的に「見習い<騎手<助手(調教師含む)」の順番で体重が重いため、見習いや騎手が乗った場合は、時計が出やすい人が騎乗していたと判断するのがいいでしょう。

また騎手の中でも「若手の減量騎手」は、他の騎手よりも体重が軽いので、その点も留意しましょう。

③手応え

文字通り、調教を行った際の騎乗者の手応えを表しています。一般的に強く追った方が時計が出るので、「一杯」や「強め」の表記がある場合は、それに伴って時計がちゃんと出ているか確認する必要があります。

一部のPOGファンの中では、「馬なりで好時計が出ているのが良い」という風潮が一部でありますが、実際は「馬なりだからいい」「一杯だからだめ」という訳ではなく、指示を出している側の指示にちゃんと反応しているかを見るべきです。

④時計

調教時計は調教欄の中で一番注目されるポイントです。情報が少ない2歳戦などでは調教時計だけで人気になる馬もいるぐらいです。

こちらもネットでは「加速ラップがいい」「早い方がいい」「ラスト1Fが早い方がいい」という風潮がありますが、意図的に時計を出さない調教師や、意図的に加速ラップにしない調教師もいますので、一概に正解はありません。

調教欄の中で一番数字としてデジタルに出る項目なので、額面どおり受け取りたくなるのはわかります。ただ馬場や騎乗者、位置により数字の変化が大きい項目ですので、時計だけで判断せず①〜⑥を総合して判断するべきだと思います。

⑤相手・着差

調教の方法の一つとして、一頭だけで走らせる「単走(たんそう)」パートナーとなる並走馬と走る「併せ馬(あわせうま)」の2種類があります。一般的に単走はその馬単体の走りをさせる目的で行われ、併せ馬は何かしらの目的を持って行われます。

併せ馬の目的は様々で、複数馬数で走らせるのに慣れさせたり、追いかけた馬を直線で交わすという目的であったり、並走馬と競うことで負荷をかけたりと、より実践を想定して行われます。

ここで注目すべきは、「併せた相手」と「着差」です。

併せた相手を見て、自身よりもレベル(格)が高い馬の方がパートナーを務めている場合は、期待できることが多いと思います。「レベル差がある=走るスピードの差がある」わけですから、下手すると併せ馬にならないことも起こるというリスクもあります。それでも併せ馬の相手に選んでいるということは、何かしらの背景があることが多いです。

次に着差ですが、これは着差をつければいいというものではなく、あえて同入(同じタイミングで並走する)したりするケースもありますので判断が難しいですが、抜こうとして抜けないのは明確に印象が悪いです。手応えが一杯で前の馬に追いつけないケースは嫌いたいところです。

⑥位置

位置はトラックコースでの調教タイムを見る際に最も注意する必要があります。位置とは馬の通ったところを指します。位置1から9までで表現することが一般的です。位置1はインコース、位置9はアウトコースを表現しており、当然コーナーのあるトラックコースでは位置1の方が時計が出やすく、位置9の方が時計が出にくくなっています。

位置はトラックマンの判断によるので正確な数字の補正は難しいですが、幅20mのコースを9等分して位置が一つ変わるたびに2m外を回ると仮定して計算すると、位置が一つ変わるたびに0.2~0.3秒程度の差が出ますので、それで補正するとまあまあしっくりくるかなと思います。

調教タイムの基準時計

次に調教タイムの基準時計について解説していきます。いわゆる「水準(勝ち上がれる水準の能力)」の目安となる時計はどれくらいでしょうか。

ただし同じ未勝利馬でも2歳馬の6月と3歳の夏では体の成長度合いが異なりますので、ここでは2歳戦の早い時期を想定したタイムとさせていただきます。(調教時計は人により水準の持ち方が異なりますので、あくまで私の解釈としてという前提でご理解ください。)

また後述しますが、調教師によってはなぜか時計を早く出せる人もおり、あくまで参考程度としてご理解ください。

美浦坂路の2歳基準タイム(水準タイム)

栗東坂路よりも高低差が小さく時計が出やすいコースですので、4ハロンの全体時計で52秒台の時計は欲しいところです。その上で2ハロンの時計が25秒を切ってくるとより良いかと思います。

美浦ウッドの2歳基準タイム(水準タイム)

これまでは手動での計測だったので5ハロンで66秒台が水準だったのですが、自動になってからは65秒台を一応の水準として見ております。位置は6以上だと信頼度は上がると思います。3ハロンは37秒台前半より早いとより良いと思います。

栗東坂路の2歳基準タイム(水準タイム)

美浦坂路より時計が出づらいので、4ハロンの全体時計で53秒台前半を水準として見ると良いと思います。その上で2ハロンの時計が25秒を切ってくるとより良いと思います。

栗東Cウッドの2歳基準タイム(水準タイム)

5ハロンの時計で66秒台より早いと水準程度の目安になりそうです。栗東の厩舎の特徴なのかはわかりませんが美浦よりも6ハロンから時計になる場合が多く、さらに末脚を伸ばす傾向の厩舎が多いので、5ハロンで66秒台と早い段階から時計を出しつつ、末脚が11秒台に突入できるようだとより信頼度が上がると思います。

調教欄から馬の調子を見極める方法

2歳戦や新馬戦以外ですと、調教以外の予想ファクターが増えますので相対的に調教の重要度は下がってきます。例えば上位クラスの馬は調教時計を出そうと思えば、水準時計を上回る時計を簡単に出せてしまいますので、時計だけで判断するのが難しくなってきます。また、外厩という制度を最近はフルで活用する馬ばかりですので、厩舎での追い切り時計というのはどんどんアテにしにくくなっているのが現状です。

外厩とは?外厩帰りの馬の情報の調べ方0外厩とは?外厩帰りの馬の情報の調べ方

では、2歳戦や新馬戦以外ではどうやって調子を見極めるのかと言いますと、前回との調教内容の差を見ると良いと思います。

例えば、「ずっと馬なり調教で結果が出ているのに急に今回一杯で追い切りをした」という馬がいた場合は、結果の出ていた調教パターンと変えてくるわけですから何かあると推察することができます。(このケースの場合は「追い切り本数が足りない?」「馬体を絞りたい?」という推察ができます。)

調教師の調教時計の癖(クセ)・特徴

調教時計を見る上でもう一つ注意点があります。それは調教師によって調教時計に癖(クセ)がある点です。おそらく調教師の独自のノウハウによるものですが、こういった特徴ある厩舎の馬の時計を他の厩舎と同様に画一的に見てしまうと痛い目を見ます。

例えば、栗東の森調教師は坂路の時計がものすごく早く出ます。水準を大きく上回る時計をバンバン出しますが、全馬勝ち上がる訳ではありません。(最近では高野調教師、西村調教師も時計がかなり出るタイプの調教師です。)

逆に時計が出ないタイプとしては、引退してしまいましたがジェンティルドンナを管理した石坂正厩舎です。GI級の馬でも調教では未勝利クラスの時計しか出ないこともありました。現役で近いイメージの厩舎は美浦の堀調教師です。堀調教師の場合は時計が出ないというより、時計を出すと結果が悪くなるという感じで、時計が出ていない方が期待度が上がるというタイプです。

このように、厩舎によってはこれまで学んできた手法がそのまま使えない厩舎も存在しますので、この辺りはやりながら学んでいくしかありません。

調教・追い切りの見方(基準タイム・ポイント)まとめ

調教欄というのは、競馬新聞で大事なコンテンツの一つです。調教だけで予想をしている人や調教を分析する競馬専門家がいたりするなど、調教というのは奥が深いものです。また人によって解釈が大きく変わるのも調教の特徴です。本件を機に興味を持たれた場合は、調教に対して、自身のフォームを見つけるのが良いでしょう。

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