キタサンブラックは紅白歌合戦に何度も出演し、国民的演歌歌手と言われている北島三郎さんが実質的なオーナーを務めている馬で、クラシック路線に乗ってきたことからファンの間で一部人気になった馬でした。当初は一部の競馬ファンが知るというレベルの認知度でしたが、その後は日本を代表する競走成績を収めます。
有馬記念など一般認知度の高いレースを制した際は、表彰式で北島三郎さんが自身の代表曲の「まつり」を歌ったことが一般紙でも報道されるなど、オーナーの知名度の影響と自身の実力の相乗効果で、比較的一般的な認知度が高い馬です。
現在では名種牡馬になる気配を見せており、さらに評価を高めそうな一頭です。
キタサンブラックの活躍
画像引用:wikipedia
馬名(英名) | キタサンブラック(Kitasan Black) |
生年月日 | 2012年3月10日 |
生産地 | 日本 |
生産者 | ヤナガワ牧場 |
性別 | 牡 |
毛色 | 鹿毛 |
父 | ブラックタイド |
母 | シュガーハート |
調教師 | 清水久詞 |
馬主 | (有)大野商事 |
競走戦績 | 20戦12勝 |
賞金 | 18億7,684万円 |
主な勝ち鞍 | 菊花賞、天皇賞(春)2回、ジャパンカップ、大阪杯、天皇賞(秋)、有馬記念 |
現役時代は大野商事(歌手の北島三郎さん)の所有馬として、有馬記念や春秋の天皇賞などGIを7勝した。獲得賞金総額は18億7,684万円(付加賞含む)で、当時のJRA歴代1位となった。
ヤナガワ牧場から購入した時のキタサンブラックの値段は350万円。母馬のシュガーハートは牧場では期待の繁殖牝馬だったものの、足元の故障で未出走で繁殖入りしていたこと、育成期に若干キタサンブラックの体型が崩れるリスクがあったこと、初年度産駒が勝ち上がれなかったことから値段がそこまで上がらなかったと言われています。
キタサンブラックは獲得賞金だけで購入代金の50倍近い賞金を稼いできた計算になります。北島三郎さんとヤナガワ牧場の先代の梁川正克氏とは旧知の仲であり、実際に馬主としてもヤナガワ牧場とは50年以上の付き合いがありました。この値段でこれだけいい馬を購買できたのも長年馬主を続けている縁が産んだものでしょうか。
ヤナガワ牧場は親子3代で続く歴史ある牧場ではありますが、スタッフは約10名で毎年の競走馬の生産頭数は約30頭ほどと、規模としては小さな牧場です。しかし、近年は生産馬からGI馬を排出するなど競馬ファンには知られている牧場です。しかしこの規模の牧場からこのような歴史的な名馬が誕生するというのは偉業と言ってもいいでしょう。
キタサンブラック(Kitasan Black)の競走成績
3番人気 1着 騎手:後藤浩輝/(ミッキージョイ)
9番人気 1着 騎手:北村宏司/(サトノラーゼン)
5番人気 1着 騎手:北村宏司/(リアルスティール)
4番人気 4着 騎手:浜中俊/ドゥラメンテ
6番人気 14着 騎手:北村宏司/ドゥラメンテ
6番人気 1着 騎手:北村宏司/(ミュゼエイリアン)
5番人気 1着 騎手:北村宏司/(リアルスティール)
4番人気 3着 騎手:横山典弘/ゴールドアクター
5番人気 2着 騎手:武豊/アンビシャス
2番人気 1着 騎手:武豊/(カレンミロティック)
2番人気 3着 騎手:武豊/マリアライト
1番人気 1着 騎手:武豊/(アドマイヤデウス)
1番人気 1着 騎手:武豊/(サウンズオブアース)
2番人気 2着 騎手:武豊/サトノダイヤモンド
1番人気 1着 騎手:武豊/(ステファノス)
1番人気 1着 騎手:武豊/(シュヴァルグラン)
1番人気 9着 騎手:武豊/サトノクラウン
1番人気 1着 騎手:武豊/(サトノクラウン)
1番人気 3着 騎手:武豊/シュヴァルグラン
1番人気 1着 騎手:武豊/(クイーンズリング)
以降、500万下とスプリングステークスを低評価を覆し連勝しますが、デビュー時点でクラシック登録をしていなかったことからオーナーの北島三郎さんが追加登録料200万円を支払ってクラシック戦線に挑むこととなりました。(陣営は本格化に時間がかかると思っていたようです。のちにこれが種牡馬入り時にややネガティブな印象を与えることになります。)
追加登録料を払って臨んだ皐月賞は主戦の北村宏司が騎乗停止になる中で3着と好走するものの、続くダービーは大敗。夏を越してセントライト記念と菊花賞を連勝。オーナーの北島三郎さんに初めてのGI勝利をプレゼントしました。菊花賞のレース前には、母父のサクラバクシンオーが嫌われたのか3000mという距離を不安視されましたが、それを一蹴。以降キタサンブラックは中長距離で活躍していくこととなります。
続く有馬記念は主戦の北村宏司騎手が落馬負傷で横山典弘騎手に乗り替わりとなるアクシデントもありましたが、3着と好走。翌年の活躍を期待させる走りでした。
明け4歳の初戦は産経大阪杯。このレースから以降の全てのレースで手綱を取る武豊騎手に乗り替わりとなりました。レースはキタサンブラックの一つ前のレースで手綱を取っていて、キタサンブラックの力を把握していた横山典弘騎手騎乗のアンビシャスが、これまでに見せたことのない先行策による強襲に屈し敗れるものの、武豊騎手として手応えを感じるレースだったようで、レース内容自体にはポジティブなコメントを残していました。
以降、武豊騎手が得意とする逃げ・先行策が同馬の脚質と合ったこともあり、天皇賞・春の連覇や天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念などの大レースを制します。(残念ながら宝塚記念だけは謎の大敗やマリアライトの強襲に遭い制することはできませんでした。)
引退レースの有馬記念のレース終了後の引退式で北島三郎さんはキタサンブラックを称える歌「ありがとう キタサンブラック」を披露するなど、話題に事欠かない馬でした。
なお、キタサンブラックは2年連続の年度代表馬に表彰され、引退後に顕彰馬に選出されております。
種牡馬としてのキタサンブラック
キタサンブラックの初年度(2018年)の種付け料は500万円と、GIを7勝した馬としてはやや低めとも言える価格設定でした。
理由はいくつかあります。まず母系からも活躍馬がそこまで出ていないこと、父馬のブラックタイド自体も弟の代替種牡馬の域を出ていなかったこと、そしてキタサンブラック自身が現役時代のレースぶりからスピードと仕上がりの早さに疑問符が付いていたことなどが挙げられます。
その後、デビュー前の産駒の馴致の評判も”遅そう”という評判であったことから、翌年の種付料は400万円に落ち、2021年にはさらに300万円に下落しました。しかし、初年度産駒のイクイノックスが2歳戦で好走したことから、2022年の種付料は500万円に戻る。2023年の種付料はイクイノックスやガイヤフォース一挙に1,000万円の大台に。
更なる種付料の上昇が確実視されています。
産駒の特徴は、キタサンブラックが逃げ・先行で持続的な脚で押し切ったのとは対照的に、キレ味鋭い末脚を持つ馬が多く、スピード勝負でも見劣りしません。
- イクイノックス
- ソールオリエンス
- ガイアフォース
キタサンブラックで北島三郎はいくら儲かった?
キタサンブラックは現役時代の成績が評価され、ヤナガワ牧場生産にもかかわらず、北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬入りすることとなった。シンジケートの総額は13億5,000万円(1口2,250万円×60口)となり、仮に北島三郎さんが全ての株を売却していた場合は、現役時代の賞金に加え13億円近い価格で売却したこととなります。
ただし、北島三郎さんは種牡馬シンジケートのうち、10株程度を所有しているとの報道もあり、仮に15%程度の株を継続保有していると仮定すると、「余勢」の種付料の1割強が配当として支払われます。(預託料や保険料は別途かかりますが。)
キタサンブラックの血統
ブラックタイド | サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | ||
ウインドインハーヘア | Alzao | |
Burghclere | ||
シュガーハート | サクラバクシンオー | サクラユタカオー |
サクラハゴロモ | ||
オトメゴコロ | ジャッジアンジエルーチ | |
テイズリー |